Space Food
宇宙食

コオロギを使った
宇宙食の開発や
養殖に向けた実証実験に
取り組んでいます。

拡大する宇宙産業と
宇宙への長期滞在

米国の世界的金融機関グループであるモルガン・スタンレーは、宇宙ビジネスの市場規模は2040年には120.2兆円に到達し、2016年の36.9兆円から3.26倍に拡大すると推測しています。

このような流れの中で宇宙ステーションの建設も活発化しています。米国NASAと日本のJAXAそれにヨーロッパのESAEは共同で宇宙ステーションを2026年に建設予定で、中国は2022年内の宇宙ステーション建設を目標としています。民間からの参入も活発化しており、例えばAmazonのジェフ・ベゾスが設立した宇宙開発企業ブルー・オリジンは2021年10月25日に宇宙ステーションを建設する計画を発表しています。

2040年には月面基地で1000人の共同生活を目指す取り組みもあり、宇宙への長期滞在条件が着々と整いつつあるのです。

滞在が長期すると課題となるのが、宇宙ステーション内での食料自給の問題です。

困難な宇宙空間での
動物性タンパク質の確保

地球から火星までの2億2500万キロをロケットが往復飛行するためには、少なくとも1年半の期間がかかるため、その間の食料や水、燃料などを考慮する必要があります。宇宙滞在が長期化すればするほど食の充実は切実な問題ですが、家畜やそれに与えるエサや水などをロケットに乗せるには財政的にも物理的にもムリがあります。

また仮に運べたとしても、人間が宇宙服を着ていることをみればわかるように、その過酷な環境で牛・豚・鶏などを飼い育てるのは非常に難しいのが現実です。育てるための空間の確保や排泄物の問題もあり、宇宙空間で動物性タンパク質を自給するのは非常に困難なのです。

注目される
宇宙での昆虫食

その中でいま注目されているのが昆虫食です。

昆虫は栄養が豊富で、コオロギの場合は牛肉と比較して0.05%の水分量と16%の餌量で同じ量のタンパク質を生産できます。

生産する際に垂直に積み上げることができるため、一定面積から生産されるタンパク質量を増やすことも可能です。ロケットや宇宙ステーションのように限られた空間を効率よく使うことができるのです。

このように昆虫食は、宇宙での動物性タンパク質の確保において、非常に大きな可能性を秘めています。

コオロギと見る
宇宙への夢

近い将来、スペースミッションの長期化または宇宙滞在が予測される中、食料は宇宙でも〝地産地消〟が必要になってきます。

動物性たんぱく質の生産を宇宙環境で行うには課題がある中、昆虫は限りある資源から効率的に生産され、宇宙環境の中でも生産可能な栄養価と満足度の高い食事になる可能性を秘めています。

限られた資源と厳しい状況の中で食べられる安全な食料の生産を目指し、BugsWellでは宇宙食の開発と宇宙農業に向けた実証実験に取り組んでいます。